「人脈は広げておいたほうがいい」——独立したての自分は、これをほぼ信じきっていました。仕事は人から来るものだし、人に会う回数を増やせば、巡り巡って案件につながるはず。そう考えて、約4年、同業の集まりも異業種交流会も積極的に申し込んだり、知人に誘われれば足を運んだりもしてきました。
当時の自分と同じように、こんなモヤモヤを抱えていませんか?
- 人脈づくりのために交流会に通っているが、いまひとつ手応えがない。
- 営業目的で参加しても、なかなか仕事につながらない。
- 名刺ばかり増えて、受注には結びつかない。
- 「交流会って、そもそも意味があるのかな?」と迷い始めている。
先に、4年通ってたどり着いた結論をまとめておきます。
- 交流会が悪いわけではありません。「何を期待して、どう使うか」を決めていないと空回りします。
- 営業目的の一般的な交流会は、売り手が多く買い手が少ない。即効の営業チャネルとしては期待しすぎないほうがいい。
- ただし「協業できる仲間」や「異分野のつながり」を育てる場としては、ちゃんと価値がある(手間はかかります)。
- 仕事は「名刺を交換した大群」ではなく「仲良くなった少数」から、時間をかけてやってくる。
ここからは、この結論にたどり着くまでの4年間を順番に振り返っていきます。「交流会には意味がない」という単純な話ではなく、自分の使い方を見直すヒントとして読んでもらえたらうれしいです。
何を期待して交流会に通っていたのか
まずは、当時の自分が交流会に何を求めて通っていたのか。ここをはっきりさせておくと、このあとの話がスッと入ってきます。今ふり返ると、目的はざっくり2つでした。
- 営業・受注につながる人探し — 正直なところ、仕事をくれる相手(発注者)と出会いたかった
- 同業の横のつながり・協業相手探し — 一人では受けきれない案件を、一緒にやれる仲間がほしかった
ここでひとつ、軽い質問を置かせてください。あなたは今、何を期待して交流会に行っていますか? この2つ、似ているようで、あとで見ていくとおり“通う場所も動き方もまるで別物”なんです。当時の自分はこれを、同じ場所・同じ立ち回りで、少し欲張って両取りしようとしていました。ささやかな伏線なので、頭の片隅に置いておいてください。
4年通った結果のリアル(名刺は増えるが仕事は増えず)
さて、結果から。営業目的という物差しで見ると、正直なところ費用対効果は出ませんでした。名刺ホルダーだけはどんどん分厚くなるのに、「これは受注につながった」と言える手応えはほとんどなかった、というのがリアルなところです。
念のため言っておくと、これは恨み節ではありません(ここは大事なところです)。起きたことを、事実として並べてみます。よくある“空振り”は、だいたいこんなパターンでした。
- 名刺や連絡先を交換しても、たいてい一期一会。数回会って、それっきりになる関係がほとんど
- 横のつながりで外注をお願いしたら、スキルや信用の面で続かず、自然消滅、ということもあった
- 仕事の依頼が来ても、報酬条件が合わず受注に至らなかった
- こちらが求めていない営業を受けて、聞いているうちに時間だけが過ぎる、ということも
- 主催者の会やイベントに誘われ参加費を払うけれど結果は変わらず、参加費が主催者の利益に消えるだけ、というパターンも
くり返しますが、誰かが悪いという話ではありません。「自分の目的(営業・受注)に対して、この使い方が噛み合っていなかった」。本当に、それだけのことなんです。主語はあくまで、自分の側にあります。
ゼロではなないが、低確率で遅い
ここはフェアに補足しておきます。成果がまったくゼロだったわけでもありません。
仲良くなった人を介して、制作や管理の案件をいただいたことは実際にあります。業務委託の話をもらえたこともありました。なので「交流会から仕事は一切来ない」と言い切るのは、自分の経験に照らすと少し違います。ちゃんと実った縁も、確かにありました。
ただ、正確に位置づけるとこうなります。確率は低い。そして、遅い。
仲良くなってから実際に仕事の話になるまで、短くて1年、長いときは3年ほど。来たことは来た。でも“即効の営業チャネル”として当てにできるかというと、正直なところ心もとない、というのが実感です。そしてここが地味に効いてくるのですが——その仕事は「名刺を交換した大群」からではなく、「仲良くなった少数」から、時間をかけてやってきました。この事実は、あとの結論をきれいに裏打ちしてくれます。
交流会に来ているのは、どんな人たちか

なぜ営業につながりにくいのか。それを考える前に、「そもそも、その場所にはどんな人が集まっているのか」を分けて見ておくと、話が早くなります。自分の体感では、参加者はだいたい次の3層に分かれていました。
- 営業・受注したい側 — 仕事がほしくて来ている。当時の自分も、まさにここ
- 協業相手を探す側 — 一緒に仕事をする仲間・外注先を探している
- 友達づくり・純粋に楽しみたい側 — 交流そのものが目的
- その他 — 何かしらの勧誘など(極少数で遭遇率も低いが、関わると厄介な場合も)
並べてみると、あることに気づきます。「発注者(買い手)」が、どの層にもあまり厚くいない。 多くの人が、自分と同じように「何かを売りたい・受けたい」側として来ているんですね。この“密度のかたより”が、次の分析の出発点になります。
なぜ営業につながらなかったのか
ここが、この記事でいちばん書いておきたいパートです。4年分の空振りを、できるだけ冷静に分解してみます。理由は、大きく3つありました。
交流会は“売り手が集まる部屋”だった
ひとつ目。さきほど見たとおり、交流会はそもそも売り手の密度が高くて、買い手の密度が低い場でした。営業して受注したい自分にとって、目の前の相手もまた「営業して受注したい人」である確率が高い。お互い売りたい者同士が名刺を交換しても、発注はなかなか生まれません。言われてみれば当たり前なのですが、渦中にいると、これが意外と見えないものです。
目的が混在していた
ふたつ目。冒頭の伏線が、ここで効いてきます。自分は「受注したい相手」と「協業したい相手」を、同じ場所で・同じ振る舞いで同時に探していました。この2つは本来、求める相手も、距離の詰め方もまるで違います。混ぜたまま動いた結果、どちらつかずになっていた。狙いがぼやけたアプローチは、受け取る側にもなんとなく伝わってしまうものです。
自分の立ち回りが“一方向のカタログ配布”だった
そして三つ目。これがいちばん効いていたな、と今は思います。当時の自分の動き方を正直に書くと、こんな具合でした。
- 自己紹介で事業内容を説明する
- ポートフォリオを見せる
- 後日、サイトや実績のリンクを送る
一見ちゃんと営業しているようですが、よく見るとすべてこちらから一方向に出しているだけなんですよね。相手が今どんなことに困っているのかを掘る。関係をゆっくり温める。そういう動きが、自分には丸ごと抜けていました。やっていたのは、要するに“自分というカタログ”を配って回ること。これでは、相手の困りごととこちらの強みが噛み合う一点には、なかなかたどり着けません。場所のせいにする前に、自分の立ち回りのほうに大きな伸びしろがあった——これが正直な総括です。認めるのは少し気が引けますが、ここに気づけたのは収穫でした。
それでもあった、本当のメリット
ここまで読むと「やっぱり無駄だったのでは?」と聞こえそうですが、そんなことはありません。むしろ、ここはしっかり書いておきたいところです。営業という物差しをいったん外すと、交流会にはちゃんとメリットがありました。異分野とのつながりです。
自分の専門の外側に強い人——たとえば撮影が得意なカメラマン、イラストが得意なイラストレーターさん——と知り合えたのは、まちがいなく収穫でした。一人では受けきれない案件にも、チームでなら手を伸ばせる。これは名刺の枚数では測れない、前向きな価値です。
とはいえ、ここにも正直に書いておくべき裏側があります。
- 維持にコストがかかる — まめに連絡・接触しないと、縁はあっさり消えます。放っておいて勝手に続くものではない
- 見極めに時間がかかる — この人になら安心して仕事を任せられる、と分かるまでには時間がいる。外注をお願いして続かなかった経験は、まさにここと地続きでした
つまり異分野ネットワークは「作って終わり」ではなく、「育てて、見極めていく」もの。手はかかります。でも、たぶんここがいちばん共感してもらえるポイントかもしれません。広い人脈そのものより、こうして少しずつ育った関係のほうが、結局は何度も自分を助けてくれました。
向き不向きと使い方——4年でたどり着いた仕分け
長い空振りの末に、自分なりの“仕分け”に落ち着きました。「交流会は良い・悪い」のオールオアナッシングで語るのをやめて、種類ごとに向き不向きで分けてみる。これだけで、ずいぶん迷いが減りました。
| 交流会のタイプ | 自分にとっての結論 | 理由 |
|---|---|---|
| 営業目的の一般的な交流会 | 向かなかった | 売り手の密度が高く、費用対効果が出なかった |
| 協業・外注し合える少数の同業/異分野 | 残す価値あり | 広く浅くではなく、信頼できる相手を見極めて深く付き合う |
| 純粋に楽しい飲み会的なイベント | 続けてOK | 営業成果には数えない。娯楽として割り切ればいい |
| 主催者の集客に参加費が消えるだけの会 | やめる | 払った分のリターンが見込めない |
ポイントは、「広く浅く」から「狭く深く」へ重心を移したこと。たくさんの人と名刺を交換することではなく、信頼できる少数と関係を育てること。仕事は前者ではなく後者から、時間をかけてやってきた——自分の経験が示していたのは、結局これでした。シンプルですが、腑に落ちると効いてきます。
まとめ|失敗が見せてくれた、本来の方向性
4年分の空振りは、決して無駄ではありませんでした。それどころか、自分の営業の方向性をくっきり照らしてくれた、と思っています。最後に、この記事の要点をもう一度整理します。
- 交流会そのものが問題なのではなく、「何を期待して、どう使うか」を決めていないと空回りする
- 営業目的の一般的な交流会は、売り手が多く買い手が少ない。即効の受注は期待しすぎない
- 協業できる仲間・異分野のつながりを育てる場としては価値がある(ただし維持の手間はかかる)
- 仕事は「名刺の大群」ではなく「仲良くなった少数」から、時間をかけてやってくる
通い続けたからこそ、腹の底から納得できたことがあります。自分の本当のお客さんは交流会には来ていないし、広く浅い縁を増やすより、深い関係や自分本来の強みを軸にしたほうが、自分の場合はずっと理にかなっている——。これは、机の上で考えていただけなら、たぶん信じきれなかったと思います。実際に通って、空振りして、ようやく自分のものになった感覚です。
もし今あなたが、交流会に通っていて手応えをいまひとつ感じられていないとしても、それは場所のせいだけとは限りません。「何を期待して、どう使っているか」を見直すサインかもしれない。そこに気づけると、そこから先はむしろ前向きに動き出せます。では具体的に、どう営業のやり方を変えていったのか——提携の組み方、既存のお客さんの掘り起こし、業種をしぼるという選択。この話は長くなるので、別の記事であらためてじっくり書こうと思います。
最後に、少しだけ自己紹介を。Web制作だけでなく、その後の管理運用・改善・AI活用の支援まで含めて、フリーランスとしてお手伝いしています。サイトの運用やAI活用の相談は、お問い合わせから気軽にどうぞ。